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第2章 現状と課題

1 社会の動向

 日本全体の情勢を見るとき,少子高齢化・核家族化や高度情報化,また,産業構造の複雑化や労働形態の多様化など多面に及ぶ社会の変化は,予想をはるかに越え深刻な事態となっています。そのような中で,経済性や利便性・効率性といった単一の価値観の過剰なまでの追求や,家族も含めた人間関係の希薄化や他者に思いを馳せることのない自己中心的な考えの広がりが相まって,家庭や地域の教育力,地域コミュニティ,或いは,物事に力を合わせて主体的に社会参加していく協働の姿勢や活力にも影響を及ぼしてきています。
 とりわけ少子高齢化による人口の減少,過疎化の進行は憂慮すべき状況にあり,教育施策にも大きな課題を生じさせています。

2 多様な価値観と規範意識

 私たちを取り巻く社会情勢にあっては,次々と発生する多くの社会問題や犯罪・事件,或いは,政治への不信感,経済・産業構造の変化から生じる社会不安と将来に対する不透明感が波状的に押し寄せています。このような状況を背景として,大人社会全体の価値観の変容、規範意識,人間としての倫理観・道徳観,さらには,人が社会で生きるための責任と義務に対する感覚が失われつつあるのではないかとさえ思わせる様相も呈しているように思われます。さらに,デフレ脱却を図り,好景気が循環する社会を目指す政治経済の転換期の中で,格差社会の新たな光と影の二重構造を生み出し,依然として若者から高齢者までのほとんどが将来に対する不安感をもち,人々の心の豊かさや教育観にも影響を生じさせている状況にあります。

3 子どもの学び

 このような大人社会の中で,子どもたちの日々の生活スタイル,子どもの規範意識や学びの志向にも影響や変化をもたらしています。また,将来への夢や希望を描けずにいたり,自主的,主体的に活動しようとする姿勢が薄らいだりして,他者に依存しようとする傾向が特徴として現れています。
 学力や体力の面においては,「第2 期計画」に基づき,一人ひとりに確かな学力を定着させ,豊かな心を育み,体力の向上を図る取組を積極的に進めてまいりました。その結果,一定の成果が現れつつありますが,依然として課題も多くあるのが現状です。
 取り分け,自己の考えや意見をまとめて表現し,他人との交流を深め協調しながら新しい方向や考え方を練り拓く力。新たな障壁の解決に自ら進んで挑み,他と相互に関わりあいながら物事を生み出し,豊かな人間社会をつくり広げる力,いわゆるコミュニケーション能力のさらなる育成が喫緊の課題となっています。
 こうした教育の課題に対し,「次代を担う人間の育成」という観点から,また予測を超える激しい社会変化の中で自己実現を図り幸福をいかに追求していくのかといった視点をもって解決に向かっていくことが極めて重大な使命です。第3 期計画の期間において,幼稚園教育要領・保育指針・新学習指導要領の施行等一連の教育関連法規に基づく諸施策の進捗,目標達成の検証の状況を可視化できるよう努め,また,学校・家庭・地域が一体となって子どもの教育を進め,誇れる「教育のまち九度山」の進展に取り組んでいくことが重要となっています。

4 元気な生涯学習のまち九度山

 本町の少子高齢化は日本全国と同様に極めて深刻な状況にあり,また,それに関連して多くの課題にも直面しています。しかし,町が一丸となって「住んでよかったと思える町」・「他の地域の人が住みたいと思う町」づくりを推進することにより,自ずと解決できる課題も多くあります。それを可能にする大きな原動力の一つが「生涯学習の振興」であると考えます。自発的に行う「学習」や教え学ぶことから得る喜びと絆の広がりから得る連帯感,健康を維持し働けることへの喜び,家族や仲間或いは地域の人々と支え合う喜び,そうした様々な喜びが幸福感を生み,生きがい(幸せ)へと繋がります。ここに至るまでのプロセスの中でキーワードとなるのが「生涯学習」という概念です。生涯を通して「自ら学ぶことによって生み出す英知」と「学ぶことによって,自らが変わる喜び」が一人,二人,グループ,地域へと広がれば「地域が変わり」,町に息吹を与え「町が元気になり変化していく」ものだと考えます。
 そうしたプロセスの中に元気の源があり,教育の原点があります。町のあらゆる仕組みの中に,「共に学び,共に生きる」理念が息づいている九度山こそ今求められている自治体の姿だと思います。そんな元気なまち,笑顔があふれるまちを目指します。

5 九度山の伝統ある教育活動の復興

 これまでの生涯学習推進の経緯は,どちらかと言えば余暇等を活用して個々人の趣味や教養を高めるための学習機会や場の整備或いは情報提供などに重点をおいてきた傾向にあり,いわば個人の資質を高めたり自らの悦びとなる学習活動にとどまっていたと言えます。
 しかし,少子・高齢化等による人口減少に起因する地域社会の変容や核家族化などによる一人ひとりのライフスタイルやニーズの多様化などの変化が一段と進んでいる中で,人々が心豊かに暮らしていくためには,地域への帰属意識や連帯感等の強い絆を形成し,安心して生活できる地域社会を目指さなければなりません。そのため,一人ひとりが自主的に地域社会との関わりに目を向け活動意欲を高揚させるとともに,一方,受け入れの側の課題として,様々な活動に参画できる環境を官民協働で整備していくことが求められています。人々の主体的で持続可能な社会との係わりの中で,幸福感・達成感と喜びが実感できる「生涯学習の振興」は極めて重要であり,「学び・教え・伝え合う」ことに「喜びと生きがい」を見い出していける「幸せを獲得するための生涯学習社会」の成熟に努めなければなりません。
 コミュニティ・スクール制度や永年培った共育コミュニティの仕組を活用して,これまでの様々な学習活動や自らの職業等を通して得た知識や技術を地域社会や子どもの教育(学校教育)の中で活かし,積極的に後進に伝えていけるシステムづくり,或いは,超高齢社会を迎え,高年齢者が人生のベテランとして,また,豊かな経験を活かし防災や福祉の分野などに参画し活かしていく仕組みづくりが,地域の教育力の向上と生涯学習社会の発展につながるものです。

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最終更新日:2021423

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